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いろいろなたんぼたんぼの生きもの

 

日本の豊かな自然と環境を守るたんぼの働きについて見ていきましょう。


たんぼに入った水の中に溶けている窒素やリン酸などの養分は、イネに吸われたりたんぼの水や土の中にいる生物に利用されます。そしてきれいな水となって豊かな川を作ります。
特にたんぼの表面の土層から少し中に入ると、有害な窒素(ちっそ)といわれる硝酸は土の中の微生物によって無害な窒素ガスに分解され、空気中に放出されます。


植物は太陽の光を受けて光合成を行い酸素を出します。このとき葉から体内の水分を出す蒸散作用も行います。気温が高いと葉の温度を下げるために放出する水分も多くなり、逆に低いと放出する水分の量は少なくなります。
たんぼのイネも同じように光合成を行い、空気中の湿度を調整し気温の上昇をおさえる蒸散作用をしています。だから、たんぼをわたってくる風はすずしく感じるのです。


たんぼにはメダカ・トンボ・イナゴ・ゲンゴロウ・ザリガニなどたくさんの生きものがいます。みんなたんぼがなくては生きていけません。たんぼの水の中には、エサになるたくさんのプランクトンがいますし、溶けている酸素の量は、日中は川の2倍にもなります。これらはたんぼの中で生まれ育ち、子孫を残していきます。


「たんぼはダムである」とよくいわれます。「形がぜんぜん違うのにどうしてダムなの?」と疑問に思う人がたくさんいるかもしれませんね。確かに形は全く異なりますし、山と山の間に築かれたダムの貯水量は膨大なものです。
ところが、驚くべきことに日本にあるすべてのたんぼの貯水量を合計すると、全国に造られたダムの3.4倍にもなります。その貯水量は全国で44億トン、東京ドームの3500杯分にもなります。
たんぼの貯水量のほうがダムより大きいのですが、想像できましたか?


その秘密は高さ30cmほどの畔(あぜ)に囲まれた浅くて広い池のようなたんぼの構造にあります。全国各地のたんぼが山地から流れ込む雨水をしっかりと受け止め、たくさんの水を蓄えているのです。


日本の年間降水量は約1800ミリで欧米の2〜3倍にもなります。しかも国土の70%が山地で急斜面が多く、川も短く急なため雨水は滝のように低地へ流れ込みます。日本は洪水が起こりやすい地形や自然環境のもとにある国なのです。
たんぼは山地から川へ流れ込む雨水を途中で上手に貯め、ゆっくりと放水し私たちを洪水から守ってくれます。また、低地では洪水になる前にたんぼに水が流れ込むので、住宅地が助かるという働き(遊水地機能)もあります。もしたんぼがなかったら私たちはもっとたくさんの水害に苦しめられていたかもしれません。


山の傾斜につくられた棚田などは、山をくだる水の流れがたんぼでゆるめられるので、雨によって山の表面の土が川に流れ出すのをくい止める働きをしています。たんぼとして利用されるとともに、土砂の流出をせき止める砂防ダムの働きもしており、土砂災害から私たちの生活を守っています。
また、たんぼに蓄えられた水は地下に浸透し地下水を作りだします。たんぼを畑にしてしまったために地下水が少なくなり地盤沈下を起こしてしまったところもあります。


たんぼにはいろいろな形があります。形の違うたんぼのいくつかを見ていきましょう。


台地が雨などで削られてできた小さな谷を谷地(やち)といいます。この山あいの小さな谷を開いて作られたたんぼのことを谷地田(やちだ)といいます。鎌倉、室町時代の谷地田はわき水や雨水に頼るものでした。谷地田は関東地方に多く見られ、現在でも茨城・千葉の両方の県で合計約5万ヘクタールの谷地田があるといわれています。


より多くのお米を収穫できるように山の斜面を利用して作られたたんぼのことを棚田(たなだ)といいます。数坪から数十坪ほどの小さなたんぼが棚のように段々になっています。小さなたんぼでの農作業は手間がかかるため棚田は放置される傾向にありましたが、山崩れや地すべりなどの災害を防ぐことや景観の美しさからその価値が再認識されるようになりました。


最近のたんぼは小さなものをまとめて大きくし、広い農道も作られています。さらに水管理をしやすくするために改良が進められ、機械でさまざまな農作業ができるようになっています。
広大な土地でトラクターなど大型の農業機械を使い効率のよい米作りが行われています。


たんぼにはさまざまな生きものが生活しています。どのような生物がいるのでしょう。


たんぼの周りにはたくさんの種類のトンボがいます。トンボの幼虫がヤゴです。トンボは卵で冬を越し、春になって田んぼに水が入ったあと卵からかえります。その後ヤゴとなり羽化するまでの間たんぼの水の中で過ごします。
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春のたんぼにはカエルが卵を産みにやって来ます。しばらくすると水の中は卵からかえったオタマジャクシでいっぱいです。2〜3ヶ月後オタマジャクシは生長しカエルになります。夜になるとカエルの鳴き声がたんぼから大きく響くようになります。
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体長32〜35mmの小さな虫です。幼虫のあいだはオタマジャクシ・ヤゴなどを大きなあごで捕らえて食べます。成虫になるとたんぼにすむ生きものたちが出すフンや死がいなどの有機物を食べます。ガムシはたんぼの掃除屋さんなのです。


たんぼでよく見られるのは少し小型のシマゲンゴロウという種類のものです。幼虫は尻尾の呼吸管を水面に出しながら水中を速く泳ぎ回り、鋭く大きなあごでオタマジャクシ・ヤゴなどを捕まえて食べます。
成虫になると羽と腹の間にガスボンベのように空気を貯めて水中で呼吸し、オタマジャクシや小魚などを捕らえてはその体液を吸います。



その名のとおり水中に住みカマキリによく似た形をしている体長40〜45mmの虫です。
水面近くで獲物を捕らえることが多く、アメンボ・オタマジャクシなど小さな虫を捕らえて食べます。
腹の端の長い呼吸管を水上に突き出して空気を取り入れ呼吸をしています。



泳ぐときに前足を前後に動かす様子が太鼓をたたいているように見えることから「タイコウチ」という名前がつきました。体長は30〜38mmくらいです。
水カマキリと同様に肉食でシュノーケルのような長い呼吸管を水中に突き出して呼吸しています。